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神崎町財政分析等研究会は当自治研センターと自治労千葉県本部政策部との共同研究として約1年半にわたり活動を進め、2013年11月に研究成果を報告書「小さな町の豊かなまちづくり-神崎町財政分析等研究会報告-」に取りまとめました。このページは研究会の活動の経緯・概況を掲載しています。
報告集会は自治労千葉県本部の大和久書記次長の司会、椎名衛委員長の挨拶でスタート。当自治研センターの宮﨑理事長からは「神崎町の財政は、過去の大きな公共事業の影響を受けてきびしい状況が続いていた。しかし、職員・関係者の努力によって大変な時期を脱しつつあり、健全に推移してきている。
神崎町の朝日副町長(右)に報告書を手渡す宮﨑理事長(左)
財政を研究する立場からは、派手な出入りがある方が面白いが、実際の財政運営は地味さが大切。今の状況を継続させていただきたい。今回の調査研究では、神崎町職労の皆さんが熱心に研究活動に参加してくれたことが非常に意義深いことだ、と思っている。全国にこの研究成果を発信していただき、次の町職労の運動に活かしてもらいたい」と挨拶がありました。
その後、申龍徹主任研究員から報告書に沿って内容の説明がなされました。「財政・予算、決算カードの視点と神崎町の財政概況」「一般会計にみる具体的な財政分析・財政点検」「特別会計の現状と課題」「類似団体比較」「神崎町住民と財政の改革」について、財政指標などの基本的な説明を含めて、参加者にわかりやすく話がなされました(報告書はこちらからご覧になれます)。
第8回の神崎町財政分析等研究会は、前回分担した原稿の執筆状況の確認、報告書の構成等、とりまとめにむけた最終確認の場となりました。
報告書は「小さな町の豊かなまちづくり-神崎町財政分析報告書-」と題して、本年11月には発刊の予定で作業が進められています。なお、報告集会は下記のとおり開催されます。
神崎町財政分析等研究会も7回を重ね、実質的な研究会としては最終となりました。今回の例会では、財政分析の残る課題の民生費・衛生費及び国民健康保険事業特別会計について3名から報告を受けました。
民生費について、平成20年度以降における民生費の増加傾向とその原因としての社会福祉費の増加が指摘されました。 衛生費について、平成22年度以降における扶助費の増加がめだっているが、その原因は子ども医療費助成金の増加にともなうものであること等の説明がありました。
国民健康保険事業特別会計の平成20年度から23年度にかけて、歳入は増加傾向にあるが、その理由は前期高齢者に係る交付金及び繰入金(他会計繰入金)の増加によるものであり、「歳出」の面では、平成21年度以降横ばいから微増に推移しているとの報告がありました。
宮﨑理事長から中間報告
宮﨑理事長から、研究会報告のとりまとめを前に、神崎町の財政分析に関する中間報告が示されました。類似団体との比較の際の留意点をはじめ、財政力指数や経常収支比率などの主な財政指標の分析が行われ、①小ぶりだが良くまとまっている、②人件費が高いが財政全般にあまり影響しない、③大きな事業による影響が大きいなどの財政分析上における神崎町の特徴が説明とともに、人口規模の小さい市町村の財政分析の際に考慮すべき点についての指摘がありました。
その後、自治総研の菅原研究員から提案された報告書のとりまとめに向けた構成及び執筆分担の確認、執筆のスケジュールを確認しました。
神崎町財政分析等研究会の第6回例会が、5月22日に開催されました。 前回(2/20)の研究会で残った課題の報告を行ったのち、最終とりまとめにむけた分担・スケジュールなどを検討・協議しました。
報告書のタイトルを「小さな町の豊かなまちづくり(仮題)」として、「財政・予算と決算カード検討の視点と神崎町歳入歳出の概況」「神崎町一般会計に見る具体的な財政分析・財政点検」「神崎町の特別会計の問題と課題」「神崎町普通会計に見る具体的な財政構造分析と財政健全化」「神崎町の財政改革-まとめに代えて」という章立てにすることを確認しました。
次回の研究会は、7月23日(火)に開催し、民生費・衛生費・特別会計の報告と分析、最終とりまとめの任務分担等を協議します。
千葉県地方自治研究センターの理事長でもあり、本研究会の会長職も担っていただいた、井下田猛先生が去る4月22日に急逝されました。亡くなる数日前に、いつもと変わらないお元気な先生と自治研センターのスタッフが、本年9月に予定する本研究会の取りまとめを相談したばかりでした。具体的な作業をこれからスタートさせるという段階での、突然の訃報でした(理事長逝去のご報告)。
今回の研究会例会は、急きょ、アドバイサーとして地方行財政の専門家である地方自治総合研究所研究員の菅原敏夫氏、当センター副理事長(法政大学教授)の宮崎伸光氏、法政大学准教授の申龍徹氏に加わっていただきました。お忙しい中、参加いただきました各氏に厚く感謝申し上げます。
2月20日、第5回神崎町財政分析等研究会が、自治研センターの新しい移転先にある千葉県教育会館別館の会議室で開催されました。 井下田会長の開会あいさつの後、自治研センター事務局次長の宮原さんの進行でスタートしました。前回から具体的な神崎町の財政分析を進めていますが、今回は、神崎町職から「議会費・総務費・消防費・災害復旧費・公債費」について、報告を受けました。
まず、2008~2010年度の決算を中心に各費目について概括的に報告された後、具体的な内容・特徴等について説明がされました。
議会費については、2007年8月1日より議員定数が16名から10名に変更になったため2008年度の人件費が削減されたこと、総務費については、定額給付金の支給(2009年度)や本庁舎の外壁等改修工事(2008年度)が変動の大きな要因としてあること、消防費のほとんどは成田市への常備消防委託料であること、災害復旧費については、東日本大震災(液状化等の被災)における職員の時間外手当や差復旧作業委託料であること、等が報告されました。
委員から「議会費はほぼ横ばいだが、特徴的な活動は?」「総務費の特徴的なことは?」といった質問や「経常収支比率が9割に近い。どう改善するかが課題になる」という指摘等を受けながら質疑応答を行った後、次回以降の進め方を議論し、下記のとおりとしました。
前日の穏やかな天候とは打って変わって、雪交じりの雨の中、神崎町財政分析等研究会の第4回例会と2回目のフィールドワークを実施しました。12月1日の10時から、千葉県自治研センターの宮原事務局次長の司会で、研究会の井下田会長、自治労千葉県本部の大和久副委員長があいさつ。
佐藤事務局長から「神崎町財政分析等研究会の中間取りまとめ案」の後、神崎町職労の大野氏から、神崎町決算のうち算のうち土木費、農林水産業費等について、わかりやすく報告と問題提起がなされました。
東部営農組合のライスセンター
「主要産業である農業にもう少し力を入れてもいいのでは」という指摘に、神崎町職労から「平成10年以前に相当の予算を割き、土地改良事業などを進めてきた結果、農業基盤も整ってきて、営農組合も法人化するなど育ってきている。これから神崎らしさをどう出していくかが課題」などの質疑を通して、内容の理解を深めあいました。
サンゴバン・ティーエム(株)の木村工場長から説明を聞く
フィールドワークは、「神崎東部営農組合」と神崎町の主要企業の一つである「サンゴバン・ティーエム(株)」を視察しました。組合員5人で頑張っている東部営農組合は、水稲・麦・大豆を中心に55haを耕作して、事業も軌道に乗ってきたとのことでした。 サンゴバン・ティーエム(株)は、ガラス溶融炉等の炉材(電鋳耐火物)を製造する国内唯一の専業メーカーです。木村工場長、労組の川添委員長から貴重なお話を伺いました。ありがとうございました。
次回の第5回研究会例会は、2013年2月に千葉市内において、神崎町決算のうち、総務費・議会費・公債費・消防費」を取り上げる予定です。
神崎町財政分析等研究会の例会も第3回を数えました。前回と同じ千葉県労働者福祉センターの会議室で、9月5日(水)の18時30分から開催しました。「決算カードの読み方と神崎町決算カード検討の視点」と題して、井下田先生から問題提起が行われました。
まず、高木健二氏の『市町村の「決算カード」の読み方』(2010年)をベースにして、神崎町の財政分析を進める上での基本的な項目について説明がありました。
また、全国的に地方財政に対する国レベルの統制・管理が貫徹されている中で、その状況を乗り越えるのはたやすくないこと。決算カードにはそのような状況が凝縮されていることを踏まえながら、豊かな神崎町を実現していくという観点で財政分析・街おこしの提言等の調査研究を進めていくことが重要との指摘がありました。
次回以降の課題として、税収増をどのように図るかということと併せて、人件費を除く歳出の縮減策を検討すること。歳出削減という点からは、基準財政需要額がどのように計算されているか、各行政項目・分野別に分析することが必要であると、問題提起がありました。
次回以降については、問題提起を受けて各行政項目・分野別に具体的な分析をスタートすることとしました。その際、来年9月に予定する調査研究の取りまとめまでの研究会例会の開催計画と具体的な分析内容について、神崎町職労とも相談しながら、速やかに検討・決定していきます。
次回の第4回例会は、2012年12月1日(土)10時00分より、神崎町で開催し、あわせて午後はフィールドワークを実施します。
神崎町財政分析等研究会の第2回例会が7月18日(水)18時30分から千葉県労働者福祉センターの会議室において開催されました。神崎町職労より、神崎町の概況(財政問題を中心として)について報告が行われました。
質疑の後、井下田会長より以下のようなまとめが提起され、確認されました。
次回の第3回例会は、2012年9月5日(水)18時30分より、自治労千葉県本部会議室で「決算の読み方と神崎町決算カードの特徴」をテーマに開催することを決定し、閉会しました。
神崎町財政分析等研究会の第1回例会とフィールドワークが5月26日(土)10時から神崎町において開催されました。千葉県自治研センターの佐藤副理事長の司会で開会。自治労千葉県本部の大和久氏のあいさつの後、井下田先生の「神崎町当初予算の視点」をテーマとした問題提起を受けました。
「月のとうふ」の周浦さん(右から二人目)に話を聞く
「出ずるを量って入るを制す」という財政・予算の基本を抑えて、「町民にわかりやすい神崎町財政」をキーワードにした調査・研究を進めていくことが提起されました。
午後からは、神崎町職の皆さんの案内でフィールドワークに出発。東京池袋で豆腐作りを修業し、神崎町に移住して「月のとうふ」店を3年前に開業した周浦(しゅううら)さんと、酒蔵祭りで味噌作り教室を開催している神山酒店の神山さんを訪問。
静かな佇まいの神崎神社
神崎町でとれた大豆と良質な水に惚れ込んだという周浦さん。「なにか特徴がないと…」という思いで取り組んでいると、やさしい笑顔で語る神山さん。貴重なお話をいろいろありがとうございました。時間の関係もあり、町役場、商店街、利根川の船着き場等を中心に見て回り、フィールドワークを終了しました。
研究会では、来年9月を目途に精力的に活動を進めていく予定です。次回の例会は7月18日(水)に千葉市内で、神崎町の過去10年分の決算カードの具体的な分析作業を進めていくことにしています。
千葉県北東部の利根川に面した神崎町は、かつて水運で栄えました。人口は、6,565人(2011年12月1日現在)であり、今後はそれが6,300人(2020年)に推移すると想定されています。町が策定した第4次総合計画は将来像の基本構想に「発酵の里・健康笑顔のまち こうざき-みんなで創る 健康・安心・子育て応援のまち-」を掲げて、4つの基本目標と8つの施策目標をベースに鋭意、町政を推進しています。
神崎町は、全国多くの自治体と同様に財政状況が全体的・構造的に厳しく、くわえて昨年の東日本大震災による液状化などの被害を町内随所にうけています。それでも震災の復旧から安心安全な町づくりが進められていますが、神崎町をめぐる財政状況の多面多岐にわたる根源的な検討が待たれます。
とりわけ、今回取り組まれる財政分析の調査・研究を介して地方財政の入門的な勉強会を繰り返しながら、地方財政の手法を具体的に学びつつ、神崎町の豊かなまちづくり=まちおこしを目指していきます。
今回の調査研究活動は、自治労千葉県本部政策部並びに神崎町職員組合の皆さんと自治研センターが共同で取り組みます。来年9月に最終の取りまとめができるように、おおむね2カ月に1回のペースで研究会例会を開催していく予定です。