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自治研ちば vo42(2023年10月)より転載
<シリーズ千葉の地域紹介>
…白井市総務部秘書課
千葉県房総半島の南端に位置する館山市は、古くは明治時代の汽船就航や大正時代の鉄道開通により「暖冬涼夏の地」「保養地」として賑わいを見せていましたが、東京湾アクアラインに代表される近年の道路交通網の整備により、都心から車で80分とアクセスが飛躍的に向上しました。
西に波静かな館山湾を抱き、南は黒潮踊る太平洋に面し、南房総国定公園内にあるネイチャーアイランドの沖ノ島をはじめ、風光明媚な34.3㎞に及ぶ海岸線からは富士山や伊豆七島なども眺望でき、特に、鏡のように波静かなことから別名「鏡ヶ浦」とも呼ばれている館山湾は「関東富士見百景」や「東京湾100選」などにも選ばれ、サンゴやウミホタルの生息域として貴重な海洋資源を有しています。
館山市では、長さ500mと桟橋形式としては日本最長で様々な船舶が着岸する館山夕日桟橋やさかなクンギャラリーのある交流拠点“渚の駅”たてやまを中心に、「海」の魅力を活かした観光振興を展開しています。
黒潮の影響を受けた温暖な気候に恵まれていることから、冬でも花々が咲き誇る「花のまち」として、また、恵まれた自然環境のもとで育てられた農産物や新鮮な魚介類が豊富な「食のまち」として、更に、南総里見八犬伝のモデルとなった戦国大名里見氏の居城跡に館山城が建つ「里見のまち」として、一年を通して多くの観光客の皆様が来訪されます。
■基本方針(4つの目標)
少子高齢化や人口減少、厳しい財政状況など課題が山積する中、まちづくりに対する4つの目標を掲げ、事業を展開しています。
1.若者が戻ってくる、戻って来たい、移住したいと思えるまち
進学や就職で一度地元を離れた若者が生まれ育った館山に戻って来て働くことができるまち、安心して子どもを産み育てることができるまち、都心部からの近接性と多様な地域資源を活かしたテレワークやワーケーション、リノベーションまちづくりなど、新しいライフスタイル・ワークスタイルができるまちを目指し、取組を進めています。
また、移住・定住分野では、移住に関する相談やセミナー等を開催するとともに、子育て世帯や東京圏からの移住者に移住支援金を交付することに加え、ワーケーション推進サイトを積極的に活用し、関係人口や二拠点居住者の増加を目指しています。さらに、農水産業分野では、令和6年2月オープン予定の食のまちづくり拠点施設「道の駅 グリーンファーム館山」を中心に、官民連携による食のまちづくりの取組を推進するとともに、市内で産出された農水産物の活用促進、ブランド化や6次産業化など、食の魅力向上により、地域産業の振興を図っていきます。
2.誰もが住んで良かったと思えるまち
特色ある観光イベントがあり来訪者の満足度が高いまち、年齢・障害にかかわらず住み慣れた地域で自立し、いきいきと元気に暮らすことができるまち、教育環境の充実と魅力ある教育を実践するまち、住環境や道路環境などの生活基盤が充実しているまち、災害から市民の生命・身体・財産を守る安全・安心なまちを目指し、取組を進めています。
観光分野では、インターネットやSNSを活用して館山市の魅力を市内外に積極的に発信するとともに、首都圏を中心とした国内向けの観光PRや、台湾をメインターゲットとしたインバウンド事業に取り組んでいます。
また、館山観光まつりや里見のまちづくり事業などのイベントに加え、館山夕日桟橋及び“渚の駅”たてやまを中心とした海辺の賑わい創出や海の魅力発信、クルーズ船や高速ジェット船等の寄港誘致を進めています。
さらに、JR館山駅を起終点に、公共施設や病院、郊外型店舗等を繋ぐ循環バスを運行するなど自家用車に頼らずに移動できる手段を確保するとともに、市民だけでなく観光に訪れた方々にもわかりやすく利用しやすい、誰もが気軽に利用できる環境を整えています。
3.シニア世代が楽しめるまち
多種多様な生涯学習の機会がありサークル活動が盛んなまち、生涯を通じてスポーツに触れ合うことができるまち、心と体の健康維持・増進ができるまちを目指し、取組を進めています。
4.3市1町の連携を強化し、ともに未来を築くまち
令和2年7月に、近隣市の南房総市と『定住自立圏形成協定』を締結し、昨年9月に「共生ビジョン」を策定、現在このビジョンに掲げる全17事業を展開しています。
安房地域3市1町の繋がりを大切にし、防災・安全対策、医療・福祉体制の充実、環境対策、公共交通の確保・維持、観光振興など、地域の連携をさらに強化して様々な課題を解決できるまちを目指し、取組を進めています。