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自治研ちば vol.44(2024年6月)より転載
<シリーズ千葉の地域紹介>
…いすみ市企画政策課
千葉県の外房に位置しているいすみ市は、市の中央部を夷隅川が流れ、良質なコメ作りに最適な肥沃な土壌を運び、その品質の高さから千葉の三大米産地と称される献上米の里として有名で、他にも梨、ブルーベリー、野菜など多様な農産物が生産されています。
また、海洋は、太東埼沖で黒潮と親潮が交差し、水深10~20m程の浅瀬が沖合10㎞以上にわたって続いています。この浅瀬の岩礁地帯は「器械根(きかいね)」と呼ばれ、イセエビ、タコ、サザエをはじめ、鯛や平目などの高級魚が獲れ、多様な食の宝庫です。
いすみ市では、自然と共生する里づくりを進め、生物多様性の保全と環境保全農業の推進に取り組んでおり、トキ・コウノトリの舞う関東自治体フォーラムに参加し、コウノトリの飛来する地域を目指して、農薬や化学肥料を使わない無農薬米づくりを進め、平成27年から全国で初めて市内の全小中学校の学校給食米に採用し、現在は給食用の野菜に無農薬有機野菜の導入も始めました。いすみ市は、食材に恵まれた地域であり、加えて妊娠、出産、産後ケア、保育、教育と子育て支援にも力を入れています。
豊かな里山・里海の恵みと、子育て、福祉施策が相まって宝島社の発行する「田舎暮らしの本」住みたい田舎ランキングで8年連続 首都圏エリア1位を獲得しています。
■まち・ひと・しごと創生総合戦略
7つの基本目標
人口減少・少子化は、地域に多くの課題を提起しています。未来に希望のある地域をつくるため、7つの目標を掲げ取り組んでいます。このことで、小さくてもあきらめのない、若い人が戻ってきたくなる地域づくりを目標に、人口減少がなだらかになるよう努力し、活力を持続する地域を目指します。
1.自然災害への対策強化
地震や気候変動の影響により激甚化、頻発化する風水害などの自然災害のほか、市民の命を守るための防災対策、地域防災力向上への取り組み、減災を目的とした情報伝達体制の強化を図るとともに、避難施設の整備などを進めます。
2.経済の振興と未来への投資による 持続する地域づくり
人口減、進む高齢化の中で、人が生きるために必要な経済が縮小しつつあります。人口減少はやむなしと考えますが、経済は地域を支えるエンジンであるので、もう一度地域の産業の持続的発展のために何をすべきかを考え、地域に育ってきた産業がどうすれば良いかを探り、オンリーワンの地域づくりを目指します。このためには、地域を支える大動脈の高規格道路の整備がキーポイントになります。
3.環境にやさしい持続可能な地域づくり
環境と経済を両立する形で有機農業を推進するとともに、近年多発するイノシシ等による農作物被害への対策、里山整備による森林機能の保全を推進するほか、ごみの減量化など環境負荷軽減への取り組みを推進し、持続可能な地域づくりを進めていきます。また、合併20年を機にゼロカーボンシティを宣言し、環境と経済の両立を目指します。
4.移住・定住と新たな関係人口の拡大
リモートワークの普及など、社会情勢の変化により地方へ注目が集まる中、引き続き、移住・定住施策を進め、各種の事業を展開します。若い人のニーズに応えるほか、空き家の活用などによって移住・定住を進めてまいります。また、いすみ市の持つ食を中心にファンをつくり、魅力を広めて、関係人口の拡大を進めます。
5.人生100年時代の安心、幸せづくり
「人生100年時代」を健康で過ごすため医療、福祉、介護の充実を更に進めることにします。特にいすみ医療センターは、地域になくてはならない病院であることから、医療の充実を優先課題と考え取り組みます。
6.地域資源を活かした地域の魅力向上
いすみ市の魅力は里海、里山が広がり、多くの地域資源があります。特に食においては房総トップクラスの豊かさを持つ地域です。この豊かな食材を生かして、多くの人が食、体験ウォーキングを通して、豊かな自然を味わいリフレッシュできるまちを目指します。
7.ICTを活用した地域経済の拡大、行政事務の効率化、情報教育の推進
情報通信技術の急速な進展は、生活様式だけではなく様々な分野の幅広い場面で大きな変化をもたらしています。市民サービスの向上や産業の活性化、教育分野でのICTの積極的な活用により、情報化の推進を図ります。特に市役所窓口業務の情報化、訪れる人の利便性のための情報サービスの提供を進めます。