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千葉県地方移住研究会

首都圏の一角を占める千葉県東部・南部においては、全国有数といわれる農業、及び東京湾と太平洋に囲まれた立地をいかした水産業が盛んですが、農林水産業の後継者不足、地域の活性化が深刻な課題となっています。そこで、県東部・南部地域の過疎化・後継者対策への検討材料とするために、移住の実態やその要因について調査研究することとしました。

第3回千葉県地方移住研究会を開催

2024年2月19日(月)

2024年2月19日に第3回千葉県地方移住研究会を開催しました。椎名衛副理事長の司会で開会。若井理事長のあいさつの後、佐藤事務局長が「千葉県における地方移住に関する調査研究結果について」を報告し、協議を行いました。

若干の質疑、意見交換を行った。5つの団体の視察調査を行ったが、「キーパーソン」を共通するキーワードとして、どのようなキーパーソンがなぜ当該地域にかかわるようになったのか、当該地域の特性を踏まえて地域の活性化を進めたか等の点から、今後報告書をまとめていったらどうか。また、この40~50年の地域を再生する取り組みを俯瞰すると、最初は1村1品運動から始まり、行政やNPO等の住民団体による取り組みを経て、今では地域の外から移住者を呼んで地域を再生していく段階となっていることを踏まえてまとめていったらどうか、という意見が出され、その方向でまとめていくことが了承されました。

報告書については、調査結果をベースに、「本日の議論の素材として」を整理して掲載することとし、「発刊にあたって」を若井リーダーに、またアドバイサーの嵩氏に総括的に執筆していただくことを確認しました。 最後に、椎名副理事長が何かご意見等あれば、事務局に寄せていただきたいと述べるとともに、終了を宣言し、閉会しました。

一般社団法人小さな地球の視察調査

2023年10月13日(金)

釜沼地区の天水棚田

2023年10月13日に一般社団法人小さな地球の視察調査を行いました。小さな地球は、千葉県鴨川市の山間部にある釜沼集落において、天水棚田、炭焼き小屋、みかん畑、茅葺の古民家などが残る里山を、「地縁血縁を超えたみんなのふるさと」にする取り組みを都市住民や企業、大学、NPOとともに進めています。代表の林さんが、釜沼集落の空き家に移住することを決めたのが、1999年。以来、集落の皆さんと棚田の管理を続けてきました。

釜沼集落は25世帯あり、うち移住が4世帯ですが、そこに年間あたり関係人口1000人が通うということです。代表の林さんは、釜沼集落に移り住み、いまでは地元の農家組合長を4期務めています。長年にわたって築いてきた地域での信頼関係をベースとして、天水棚田をはじめとした釜沼地域の自然と文化を守ろうと、釜沼北棚田オーナー制度、無印良品 鴨川里山トラスト、天水棚田でつくる自然酒の会、釜沼木炭生産組合などの事業を行い、企業(無印良品・博報堂)、大学(千葉大学・東京工業大学等)、自治体(鴨川市)などとの連携も進めています。これらの取り組みが背景となって、年間あたり関係人口1000人につながっていると思われます。

小さな地球がこれらの成果を上げているのは、林さんをはじめとする中核となって活動を進める人材の存在はもちろんのことですが、天水棚田をはじめとした釜沼地域の自然と文化を必要としている都市住民、大学、企業が存在したこと、それらの都市住民、大学、企業と小さな地球の取り組みをマッチングさせた企画力を見逃すことはできないと思いました。

NPO法人いすみライフスタイル研究所の視察調査

2023年8月25日(火)

2023年8月25日、NPO法人いすみライフスタイル研究所の視察調査を実施しました。いすみライフスタイル研究所は2008年に設立され、夷隅(いすみ)地域に関する情報発信、移住・定住促進、空き店舗・空き施設の活用、有機農業普及・学校給食の取り組み等を応援等の活動を行っています。

いすみライフスタイル研究所の視察調査の写真

設立のきっかけとなったのは、旧夷隅町、旧大原町、旧岬町が合併して、2005年にいすみ市が誕生した際に、旧3町の40歳前後の次世代経営者が、これからのいすみ市をどのようにしていくか、見直してみようということになったことでした。

いすみ市は、千葉県南部地域でも移住の人気の高い地域の一つです。今回の視察調査から、移住支援等を行っているNPO法人いすみライフスタイル研究所がとてもしっかりした活動を進めてきたことが大きいと思われました。地元の次世代経営者が中心となって、行政等に任せてしまうのでなく、「自分事」として地域のまちづくりを主体的に取り組む中で、いすみ市や千葉県との連携を深めてきたことが様々な成果に結びついているのではないかと思われました。

NPO法人を設立して16年が経過しましたが、その間、移住・定住支援、暮らし・空き地・空き家のサポート、マーケットの開催、チャレンジショップの作り手応援等の幅の広い様々な取り組みを継続してきています。また、SDGsを意識した持続可能なまちづくりにむけて、ソーラーシェアリングの事業化、学校給食への有機米・有機野菜の導入のサポートなども行っています。長年にわたるこれらの取り組みの積み重ねによって、地域の中での連携強化や「関係人口」の拡大につながっていると感じました。

一般財団法人SDGs大多喜学園の視察調査

2023年7月4日(火)

2023年7月4日、SDGs大多喜学園の視察調査を行いました。SDGs大多喜学園は、2021年に大多喜町の廃校になった旧総元小学校を拠点として設立されました。3人制プロバスケットボールの選手6名が大多喜町に移住して、大多喜町をホームタウンとして選手としての活動を行いながら、デュアルキャリア形成の一環として、地域を活性化させるべく、耕作放棄地や放置竹林の活用、幼児、小学生・中学生を対象としたスポーツ教室や社会人を対象にした「体操教室」等を開催しています。

SDGs大多喜学園(旧総元小学校)の写真

活動はスタートしたばかりですが、スポーツ教室の利用者も徐々に増えてきており、地域での認知も広がりつつあります。田植え体験やタケノコ掘りの開催を通じて、関係人口の拡大にも寄与しています。地元の農家から頼まれて、田んぼを20町歩ほど管理して耕していますが、採算ベースに乗せるにはひと工夫必要な状況とのことでした。

デュアルキャリアの形成という意味では、時間をかけて地域とのつながりを深めながら、様々な活動を継続していきつつ、地域に根差した事業を確立していくことが求められています。また、移住する人材を増やしていくという観点からは、大多喜町における空き家の利活用が大きな課題との指摘がありました。

SDGs大多喜学園の活動は、地域の活性化並びにデュアルキャリアの形成としての新しい仕事の発掘という観点から、大きな可能性が期待できますが、地道な活動を積み重ねながら、地域との信頼関係を広げていくことが肝要だと感じました。

銚子市行政及び地域おこし協力隊の視察調査

2023年5月12日(金)

2023年5月12日、銚子市における地方移住の状況、行政による移住支援の取り組み、並びに地域おこし協力隊の活動状況等について、銚子市企画課の担当者並びに地域おこし協力隊から説明を受ました。

銚子市行政及び地域おこし協力隊の視察調査の模様

銚子市における年間の移住者件数は、ほぼ一桁台で、二桁台はあまりないという状況とのこと。若い人に紹介できる仕事があまりなく、若い人の移住相談は多くなくて、新たな仕事の発掘が課題となっているとのことでした。

空き家バンクの制度が始まった平成27年度から令和2年度くらいまでは、空き家バンクの相談件数が延べ64件で、そのうち登録に至ったのが23件であったそうです。しかし、それ以降はあまり相談もないし、成約したケースもないとのことでしたが、空き家の件数自体は年々増えており、空き家の利活用の促進が課題となっています。

移住支援団体については活動が停滞していますが、「銚子ビール」や「アフロきゃべつ・アフロコーン」を生産するなど、核となる魅力的な人材が市内に多く育ちつつあり、これらの人材が活躍できる仕組みづくり等を行うことによって、活動を広げていく糸口が見えつつあると思いました。

第2回千葉県地方移住研究会を開催

2023年4月18日(火)

2023年4月18日、第2回千葉県地方移住研究会を開催しました。椎名衛副理事長の司会で開会。若井理事長のあいさつの後、佐藤事務局長が本年3月7日に実施したふるさと回帰支援センターの視察調査結果並びに千葉県内の32市町村を対象に実施した「地方移住に関するアンケート調査結果」を報告しました。

今後の視察調査等の取り組みとして、5月12日(金)には銚子市行政並びに地域おこし協力隊の視察調査を行い、それ以降の本年6月から11月までの視察調査については、第1回地方移住研究会で議論された視察先をベースに調整していくこととしました。

最後に、椎名副理事長が何かご意見等あれば、事務局に寄せていただきたいと述べるとともに、終了を宣言し、閉会した。

ふるさと回帰支援センターの視察調査

2023年3月7日(火)

2023年3月7日、東京有楽町にある認定NPO法人ふるさと回帰支援センターを訪問し、高橋公理事長からお話を伺いました。ふるさと回帰支援センターは、団塊の世代が2007年から定年退職し始めるという「2007年問題」を背景として、全国の消費者団体、労働組合、農林漁業団体、経営団体、民間団体や有志などが一堂に集い、2002年に立ち上げられました。全国各地の移住情報を入手できるNPO団体として、移住相談、移住セミナーやふるさと回帰フェアを開催して、移住希望者を応援しています。

ふるさと回帰支援センタの各県の移住相談ブースの模様

ふるさと回帰支援センターを立ち上げてしばらくは、50代・60代の高齢層の移住相談が多かったそうですが、2014年に通称「増田レポート」が発表され、同年9月に安倍内閣(当時)がまち・ひと・しごと創生本部を立ち上げて流れが変わったとのことです。今では、40歳代以下の層が移住者のメインとなっています。 ふるさと回帰支援センター(東京)の2022年移住希望地ランキングをみると、1位は静岡県、2位が長野県となっています。その要因として、静岡県では、政令市で唯一、ふるさと回帰支援センターに移住相談ブースを設置する等、熱心に取り組む静岡市長の影響や、長野県では、総務省の過疎対策室長を務めた経験がある知事によって、移住の問題に関して一生懸命取り組まれていることが指摘されました。

高橋理事長は、移住を進めるうえで、地方自治体に要請している三つのことを強調しました。一つ目は、住むところがないと移住できないので、空き家バンクをつくること。二つ目は、仕事の発掘。三つ目は、移住者を支援する組織を立ち上げること、です。ミスマッチを減らし、移住をスムーズに進めるために基本的なことで、大変重要なことだと感じました。

地方移住に関するアンケート調査を実施

2023年2月3日~3月3日

千葉県内の「香取・東総ゾーン」、「県央ゾーン」、「南房総ゾーン」に属する32市町村を対象として、地方移住に関するアンケート調査を2023年2月から実施し、21市町村(65.6%)から回答がありました。

移住施策の実施状況や取り組み状況について聞いたところ、すべての自治体が取り組んでいる項目は、「空き家バンク制度」で、「貴自治体独自の子どもの医療費支援」が18自治体、「就農林水産業者への資金支援」が17自治体、「起業への資金支援」が16自治体と続いていました。

移住相談件数については、千葉県南部地域が他の地域より多く、南房総地域への移住を検討していることが推察されました。

第1回千葉県地方移住研究会を開催

2022年12月7日(水)

2022年12月7日、第1回千葉県地方移住研究会を開催しました。椎名衛副理事長の司会で開会。若井理事長のあいさつの後、佐藤事務局長が「千葉県における地方移住に関する調査研究」の進め方の提案を行った後、アドバイサーの嵩和雄准教授(國學院大學観光まちづくり学部)から「地方移住の現状~首都圏の移住の動き~」と題した報告並びに今回の調査研究に対するアドバイスがなされました。

嵩准教授は、最近の地方移住の特徴として、都市の若者が地方に目を向け始めた「田園回帰」の動きをあげ、その概要を説明しました。また、移住希望者が移住するにあたっての課題として、「仕事」、「住居」、「受け入れ体制」があり、特に、移住を考えている人の多くは企業への就職を希望していること、住居について賃貸の空き家物件が少なくなってきていること、移住あたって中間支援組織・行政の担当部署の重要性等が指摘されました。

最後に、若井理事長から「本日の嵩准教授からの報告・アドバイスや皆さんから出された意見などを整理して、調査研究の今後の進め方を具体化していきたい」とまとめがあり、第1回研究会を終了しました。

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